「複数のAIを並列で動かして、自動で仕事が終わる」
そういう話を、見かけることがあります。
それがやれたら楽だなーと思って、私も実際に試しました。
新商品の販売システムを、AIエージェントに白紙から作らせようとした。
情報収集から判断、フィードバック取得、修正、配信まで。
私は何もしなくていい、という前提で。
結果は、割と早い段階で止まりました。
広告や記事の投稿を、私がコピペする前提のシステムに
なってしまったからです。
そのコピペをなくすシステムを普段作っている人間が、
それをやる前提のシステムなら意味がない。
すぐやめました。
では、「複数AIエージェントで自動化できた」と
言っている人間は、何をやっているのか。
公開されている成功事例を見ると、
ほぼ例外なく、どちらかに当てはまります。
一つは、相当作り込んでいるケース。
要件定義、システムプロンプト、エラー処理、
インスタンス間の受け渡し設計を、
人間が事前に徹底的に作ってある。
動き始めてからは自動に見えるけど、
その前に膨大な設計コストが乗っています。
もう一つは、量産ルーチンのケース。
やることが完全に決まっていて、判断の余地がほぼない。
同じフォーマットのレポートを大量生成するとか、
コードのテストを1000ファイル分回すとか。
これは並列化の恩恵が素直に出ます。
白紙から自律的に考えて成果を出しているケースは、
少なくとも公開情報の中には、見当たりません。
複数AIエージェントの並列化で一番難しいのは、
オーケストレーションです。
どのエージェントが、いつ、何をやっているかを
把握しながら、次の指示を適切なタイミングで出す。
これを人間がやろうとすると、
監視コストが並列化のメリットを食いつぶします。
うまく動いている人間は、
インスタンス間の受け渡しをファイルかgitで自動化していて、
人間の介入ポイントを最小化しています。
つまり、自動化の前に、設計がある。
「AIが勝手にやってくれる」のではなく、
「勝手にやれるように、人間が設計した」
というのが、正確な表現です。
ここを混同したまま「AIエージェントで自動化」という話をすると、
実態とかけ離れた期待だけが広がっていきます。